経営者の決断について

最終更新日 2024年4月22日 by arketcro

浦壁伸周

浦壁伸周氏が語る経営者の決断

経営者と聞いて会社の代表取締役社長を思い浮かべる人の多いのではないでしょうか。
代表取締役社長は、一般的には最終的な決定権を持つ代表者であり、いわゆる会社のトップになる人のことを意味しています。

会社とは日本の法律の一つでもある会社法に準じて設立登記が行われた組織です。
ここで重要なことは、組織と聞くと不特定多数の人がいるイメージになりますが、会社法の中では1人からでも会社を立ち上げることが出来るなどからも、組織は1人以上で構成が行われているものとなるわけです。

最近は個人事業を行っている人の中で会社を立ち上げて経営者になる人も多くなっていますが、個人事業も一つの経営であり、個人事業主自体も経営者に値することになります。
それ故に、会社の代表取締役だけではなく、ビジネスのトップを立つ人々すべてが経営者と言えます。

所で、会社には株式会社と合同会社などのようなスタイルがあるのをご存知でしょうか。
会社設立を行う時に株式会社にすべきか、それとも合同会社にすべきか迷うケースもゼロではありません。

株式会社の場合には、代表権を持つのは代表取締役社長と言う肩書きを持つ人のみですが、合同会社の場合には全員が代表権を持つ、すなわち、個々に契約に対する最終的な決定権を持つ人々で構成が行われるなどの違いを持ちます。

合同会社は全員が会社の経営者になる

合同会社の場合は、全員が会社の経営者になるのに対し、株式会社では代表取締役だけと言う違いもあることになります。
但し、会社と言う組織の中には出資だけを行い、会社経営に対してはノータッチでいることも出来ます。

例えば、10名で会社設立を考える時、1人だけ出資はするけれども経営には一切口出しをしない、こうしたことが出来ることも、会社法の中で定めてあります。

出資とは会社の資本に当たるもので、いわゆる資本金を出すことを意味します。
資本金は多ければ多いほど会社の規模および体力があることを示すことが出来る特質を持つ金額です。

現在の会社法の中では最低資本金額は1円から可能になっていますが、1円の会社と1000万円の会社では1000万円の会社の方が体力を持ち、規模が大きいとみなされます。

資本金1円の会社を作ることも出来るわけですが、銀行からの融資を受ける時などは資本金がモノを言うとも言われており、ある程度の出資金が必要になるのが特徴です。

出資はするけれども経営上での口出しはしない、こうした出資者は経営からは全く異なるなどからも、経営陣ではなく、あくまでもスポンサー的な存在になるわけです。

経営は出資を行った人々全員も関与する形になる

株式会社の代表取締役や合同会社の代表社員はいずれも代表権と呼ぶ権利を持つ役職者になるわけですが、経営を行う中で会社をもっと大きくする、規模を拡大するということは必ずしも、代表取締役社長や代表社員だけでなく、出資を行った人々全員も関与する形になります。

最終的な決断は経営者でもある株式会社の社長や合同会社の代表社員になりますが、出資だけを行って経営には口を出さない人のも決定権があるため、独断で決断することは基本的には出来ません。

これに対して、個人事業を手掛けている人が、現在のビジネスを辞めて、他の職業に就くことや再びサラリーマンとして働くなど自由に行うことが出来るのが個人事業主の特徴です。

会社を設立する時には法人登記や社会保険の加入手続き、税務署への書類提出、そして設立届け出書などの書類を作成、申請手続きを行う必要があります。

逆に会社を畳む時にも所定の管轄に対しての届け出が必要になりますが、個人事業主の場合には、開業や設立手続きについては開業届けを提出するだけでお金は一切掛かりません。
個人事業を辞める時にも事業の廃止として届け出を出す必要がありますが、この時の費用が掛からないなどの特徴を持っているのです。

個人事業主の場合は法人と違ってリスクが少ない

これに対して、会社の場合には定款作成や登記申請手続きが必要になり、約6万円から25万円の費用が必要になって来ます。
事業廃止時にも解散登記や公告が必要で、これらの費用は数万円が必要と言われているのです。

個人事業の信用自体は低いものの柔軟な形で事業を始めたり、事業の廃止が出来る特徴があるのに対し、会社の場合には信用が高いものの、事業を始める時や辞める時には様々な手続きおよび費用が必要になるなどの違いを持ちます。

経営を行う人にとって事業を廃業すると言うことは、様々なリスクを持つ形になるものではありますが、個人事業主の場合にはそのリスクが少ないなどの特徴を持ち合わせていることになるのです。

尚、税金面で優遇が行われるなどから、個人事業主が会社設立を検討されるケースも多くなっていますが、廃業をすることはお金が掛かる、しかも信頼を築き上げた顧客に対しての信用をなくしてしまうなどのデメリットも出てくるわけです。

起業する時の決断も重要なポイントになりますが、廃業する時の決断は多くの犠牲を与えてしまうなどからも責任が重いものとなるのではないでしょうか。